事例6妊娠関連糖タンパク(PAG)検査サービス
●背景
《泌乳牛における流産の発生率》
- 人工授精後28日目~分娩まで 26.3%
- 人工授精後56日目~分娩まで 9.1%
※妊娠の継続確認が非常に重要である
●検査サービス提供業者
関東生乳販売農業協同組合連合会生乳検査所
(検査キット供給元:アイデックスラボラトリーズ株式会社)
●PAG検査に関する動画(アイデックスラボラトリーズ株式会社提供)
PAG検査を理解していただくため、2つの動画を準備しました。
「乳汁によるPAG検査の特徴と活用事例」(14分)
「IDEXX Milk Pregnancy エリーザキット 使用者の声 ~海外編~」(4分)
以下のURLからご覧ください。各動画はYoutube上で限定公開となっています。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLF04c3kAbZnJ15tldqVG5Wf5Fvk3j1y19
●PAG検査サービス
- PAG(Pregnancy Associated Glycoproteins:妊娠関連糖タンパク)は妊娠時のみ胎盤より分泌される糖タンパクのこと。
- 乳汁中のPAGレベルを調べることにより、妊娠/空胎の確認(あるいは妊娠継続確認)が可能。
妊娠確認の指標として有用である。
※人工授精後28日目及び分娩後60日目より妊娠確認が可能。
※最終的な判定は獣医師の指導の下、総合的な判断が必要となる。
- PAG検査と直腸/エコー検査(従来検査)を比較した結果を図3に示す。
PAG検査の精度は高いと考えられる。
- PAG検査と直腸/エコー検査の最も異なる点は以下のとおり。
PAG検査 | 直腸/エコー検査 | |
---|---|---|
メリット | 時間・担当者を問わず検査依頼可能 | 妊娠・空胎以外の情報も即座に取得可能 |
デメリット | 取得情報は妊娠/空胎のみ | 獣医師の往診必須 |
《世界で乳汁を用いたPAG検査が普及している理由(酪農家向け)》
★乳牛への侵襲性がない(乳牛へストレスがかからない)
★牛群検定サンプルを有効活用できる
★継続した妊娠確認が容易にできる(流産への対応)
★繁殖成績の向上と生乳生産量の増加が期待できる
~PAG検査利用者の声~
■従来は、初回妊娠確認日が人工授精後約60日目であったが、30日目前後での早期確認が可能となった
■従来、妊娠確認は1頭につき1回のみであったが、PAG検査の併用により1頭につき2~3回へ増加し、流産の見逃しが減少した(なくなった)
■従来は、対象牛の探索・保定作業に時間を要したが、都合のよい時間での乳汁採取のみでよく、作業効率が顕著に向上した
●関東管内でのPAG検査実施状況【2022年4月~9月 n=3,689】
- 人工授精後28日~41日は、「早期に空胎牛を発見し次の授精へつなげる」ことを目的として実施している傾向にあると考えられる。(実施率49.7%、陰性率40.9%)
- 人工授精後42日~55日及び56日~71日は、獣医師によるエコー等による妊娠継続確認がメインで実施され、PAG検査による確認の実施率は1割程度(12.3%~15.4%)に留まっている状況にあると考えられる。
なお、陰性率は人工授精後42日~55日で39.0%、56日~71日で24.7%であり一定程度流産(早期胚死滅等)が発生しているものと考えられる。 - 人工授精後72日以降は、再度PAG検査による妊娠継続確認が実施されているものと考えられる。(実施率22.6%、陰性率11.9%)
※アイデックスラボラトリーズ(株)へ直接検査を依頼する場合はこちら
●PAG検査に係る経費
・検査料金 | 700円/検体(消費税抜き) | |
・検体送料 | 生乳検査所へ送付するクーラーボックスにローリーサンプル等と一緒に混載される場合は生乳検査所負担 (注)PAG検査サンプルのみの発送の場合、送料は各自負担となります。 |
〈参考〉アイデックスラボラトリーズ(株)で検査をする場合 1,200円/検体(消費税抜き)
●問合せ
酪農家 | : | 所属農協担当者 |
農協等担当者 | : | 生乳検査所(TEL 028-616-2880/FAX 028-613-6110) アイデックスラボラトリーズ株式会社(TEL 03-5301-6800) |