事例紹介

事例2湖西牧場株式会社

●経緯

  • 湖西酪農団地の3戸の酪農家のうち2戸が廃業した。(平成23年)
  • 廃業施設の有効利用を検討する中で、浜名酪農協として「湖西牧場(株)」を設立することの合意が得られなかった。そのため、牧場の立地条件の良さから空き牛舎の有効活用に賛同した有志酪農家8戸が出資して「湖西牧場(株)」を平成26年1月に設立した。
  • 総工費は2億3,000万円。
    当時、日本政策金融公庫の融資を受けられず、総工費の一部は地元の磐田信用金庫の理解を得て、1億6,000万円の融資を受けることができた。

 

●従業員(平成28年9月時点)

  • 9名(非農家出身者〔うち2名が酪農経験者〕)
  • 将来牧場を経営したい人など、酪農に関心のある人の募集が多い。
  • 従業員の入れ替えあり。(2~3名程度)

●事業内容

  • 搾乳作業、繁殖業務、飼料の掃き寄せ
    ※浜名酪農協のコントラクター事業及びTMRセンターを利用することにより、飼料保管スペースの確保、飼料生産・堆肥処理等の業務は不要である。

 

牛舎全景

牛舎全景

 

イメージ図

 

●施設概要・飼養状況(平成28年9月時点)

  • フリーストール牛舎2棟(100頭飼養規模×2)
    ※元々50頭飼養規模牛舎を100頭規模に改築した。
  • 8頭ダブルのパラレルパーラー
  • バルククーラー(8t×2基)
  • 搾乳牛203頭、乾乳牛約30頭、育成牛0頭
    ※乾乳は45日間。
    ※自家育成は現時点でメリットがなく実施は考えていない。今後メリットがあれば検討を行う。
  • 搾乳時間は5:30~と16:00~の2回

●牛群管理

  • 牛歩(万歩計)及び監視カメラを活用した牛群管理を実施。(歩数増加→発情)
  • 牛群検定は未実施。
  • 目標は、①日量6トンの生乳出荷、②牛を殺さない。
  • 生乳への混入防止のため、抗生物質による治療は行わない方針

●勤務体系・福利厚生等

  • 早番と遅番の2勤務(3~4名ずつ)
    〔早番〕5:00~14:00 〔遅番〕11:00~20:00(~21:00)
  • 週休2日
  • 社会保険完備
  • 社員規則は浜名酪農協規則に準じる
  • 賞与(不定期)
  • 労働組合は結成なし
牛舎

牛舎

監視カメラ

監視カメラ

 

●従業員教育

  • 毎週水曜日の13:00頃~事務所で講習会を開催(極力全員参加)
  • 目的は従業員の酪農技術や知識の向上
  • メイン講師はコンサルタントの獣医師(伊東氏)。
    ほかに伊藤会長(浜名酪農協組合長)、野末社長(出資酪農家)も講師を務める。
  • 講習会の内容は、「繁殖」「牛の疾病」「決算書の読み方」など実効性の高いものを選定している。
    従業員の入れ替えがあることから、広く浅く反復学習を実施。
  • 株主総会には従業員も参加させている。全員で牧場の経営状況を共有することにしている。
    講習会で学んでいることもあり、従業員が決算書の数値を見てどうすればいいのか考えることができるようになっている。

●設立に当たってのポイント

  • 当初計画では1年目180頭飼養→3年で200頭の予定。
    実際は、分娩を集中させ軌道に乗る必要があったことから、大変であったが一気に増頭し1年目から200頭超の飼養頭数にできた。(1年目から黒字化達成)
  • 従来のような後継者への経営移譲だけでは経営継承は進まない。
  • 離農予定農家が牛舎を提供する形にすると、牛舎提供農家は廃業しても収入が安定するメリットがある。
    また、金融機関の融資を得て株式会社が経営を実施することで雇用の創出にもつながる。
    ※浜名酪農協のようにコントラクター事業&TMRセンターによる作業の負担軽減がベースにないとできない。

●課題

  • 現時点での課題は繁殖成績の向上。
    平成27年6月より野末社長の指導の下、人工授精を開始した。
    1回目の人工授精は妊娠鑑定0頭という成績であったが、その後の努力もあり改善している。
    和牛受精卵移植もチャレンジしており、今後生まれる予定。