事例1静岡県浜名酪農協(コントラクター事業・TMRセンター)
[コントラクター事業]
●経緯
組合員の高齢化に対応し飼料作付け作業負担軽減のため、平成18年に組合長が提案し検討開始するも理事会で否決。
その後、飼料価格高騰など情勢の変化があり、平成19年より検討を再開。
平成20年2月より事業を開始した。
●事業内容
- デントコーン栽培及び収穫
- 収穫飼料のサイレージ化
- 圃場の管理(堆肥運搬・散布、耕起、播種、除草など)
●関係職員
14名〔生産部12名(本所6名/支所6名)・農地渉外課2名〕
●飼料生産に係る機械類の管理
- 各組合員が所有していた機械類はすべてコントラクターに登録。
※現在登録している機械類は、ダンプ30台とトラクター30台。
(うち組合所有はトラクター5台のみ) - 機械類のメンテナンスは職員が実施し、定期的に部品の交換している。
- 機械類の更新は組合員が実施。
- 作業内容は作業日誌で管理。
- 登録した機械類の使用頻度に応じて組合員に賃借料が支払われる。
(使用頻度が多いほど賃借料も多くなる) - 賃借料の設定
- 機械ごとに設定した時間当たりの金額が賃借料となる。
- ダンプは「走行距離×容量」、トラクターは「馬力、型式等」を考慮し金額を設定。
●農地管理
- 組合員からの全面的な飼料生産
作業受託を受けた農地のほか、非農家から借り上げた遊休農地を管理。 - 土地の借上げ料
借上げ料は発生しない。(10年間無償利用権設定) - 非農家の遊休農地の取得
農地渉外課職員が地権者への説明及び契約を行っていたが、現在は情報が組合に入ってくることから、農地を探しにいくことはない。
〈課題も多く実施は難しいが検討中〉
- 野菜農家と連携した飼料作付の実施
野菜農家が栽培を行わない夏季にデントコーンの栽培を委託する。
〔背景:遊休農地を野菜農家が取得するケース増加〕
[TMRセンター]
●経緯
組合員の高齢化に対応し飼料作付け作業負担軽減のため、平成18年に組合長が提案し検討開始するも理事会で否決。その後、飼料価格高騰など情勢の変化があり、平成19年より検討を再開。
平成21年1月より事業を開始した。
●事業内容
- 乳牛飼料の製造、販売、配送
●関係職員
35名
●飼料設計
- 酪農コンサルタント(専門職員)が定期的に牧場を巡回して牛群の状況を観察し、飼養管理や繁殖管理についての指導を実施するとともに、牛群に合わせたTMR飼料設計を行っている。
- TMR飼料の主構成は、「エコフィード50%」「コーンサイレージ5%」「乾牧草45%」
エコフィードの割合を増やすことによりコスト削減を図っている。 - エコフィードは愛知県の業者が大量に運んでくる食品残さ(おから、ビール粕など)を中心に使用。
※飼料製造コンサルタントが搬入してくる食品残さを管理し、飼料の品質安定化に努めている。
●飼料供給形態
「トランスバック」→つなぎ牛舎向け
「バラ餌」→フリーストール牛舎向け
「ロールベール」 →乾乳牛向け
※「バラ餌」は飼料配送車から直接飼槽へ給餌することで組合員の負担軽減に寄与している。
●飼料供給
- 製造するTMR飼料は組合員だけでなく、静岡県内の生産者や愛知県(豊橋市等)の生産者、関東管内の生産者向けに販売している。
[コントラクター事業・TMRセンター共通事項]
●利用戸数
当初:全組合員60戸のうち35戸
現在:全組合員38戸のうち31戸
≪参考:7年間の離農率≫ 全組合員36% ⇔ コントラクター等利用組合員11%
●コントラクター事業及びTMRセンター稼動により期待する(した)効果
- コントラクター等を利用すると飼料生産及び給与に係る作業が大幅に軽減し牛の飼養管理に専念することが可能となること、及び飼料保管スペースが不要となることから、増頭する農家が増える。